2024年10月下旬、イタリア・トスカーナ州・カルミニャーノ地区のワイナリー「ピアッジャ」よりオーナーのシルヴィア氏が来日いたしました。今回はその際の様子をお届けいたします。
前回の「ガルダ来日レポート」をまだご覧になっていない方は、是非そちらも合わせてご覧ください。
⇒『イタリア・ヴェネト州の「カンティーナ・カステルヌォーヴォ・デル・ガルダ」よりエクスポート・マネージャーのロベルト氏が来日』を見る
目次
1.ピアッジャ
ピアッジャはトスカーナ州・カルミニャーノ地区の家族経営のワイナリー。現在畑は27ha所有しており、全て自社畑から収穫される葡萄でワイン造りを行います。
1978年にアパレルの繊維工場を営むマウロ・ヴァヌッチがテヌータ・ディ・カペッツァーナから畑を購入したところからピアッジャの歴史が始まります。初めて自ら醸造を行い、瓶詰めした1990ヴィンテージが友人や専門家から非常に良くできたワインだと誉められ、ワイン造りに対する情熱が一気に加速。そんな中、フレスコバルディやアンティノリ、テスタマッタの醸造家として活躍した“アルベルト・アントニーニ”と1993年にヴィニタリーで出会い、1996年にエノロゴとして採用しました。その後1997年に「カルミニャーノ・リゼルヴァ」がガンベロ・ロッソで初めてトレ・ビッキエーリを獲得し、ピアッジャは瞬く間にカルミニャーノ地区のトップを走る生産者へと躍り出ました。
現在はマウロの娘シルヴィアがオーナーとなり運営を行い、カルミニャーノ協会の会長も務めております。
2.トレ・ビッキエーリ試飲会
ガンベロ・ロッソによる国内最大級の業界向け試飲会「トレ・ビッキエーリ試飲会」がザ・リッツ・カールトン東京にて開催され、ピアッジャとともに弊社スタッフも参加いたしました。
試飲会では、世界で最も権威あるイタリアワインのガイドブック『ヴィーニ・ディタリア2025年度版』で最高評価のトレ・ビッキエーリを獲得した高品質なイタリアワインが集結いたしました。
3.社内セミナー
オーナーのシルヴィアさんから直々に社内セミナーを行っていただきました。
ピアッジャの位置するカルミニャーノのワインはキャンティより以前からその名前が知られていました。キャンティと大きく異なるのは、サンジョヴェーゼにカベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランをブレンドするという点、畑や土壌の性質が異なる点があります。国際品種のブレンドに関しては、アルベルト・アントニーニが「カルミニャーノはトスカーナにおいて最も早くカベルネ等を作付けした土地。カルミニャーノこそ元祖スーパー・トスカーナだ。ピアッジャもスーパー・トスカーナと呼ぶべき秀作だ。」と絶賛しています。
第二次世界大戦後にイタリアでDOCの新しい規定が作られた際、この地域の人々はキャンティとの併合を拒んだため、1975年に遅れて認定されました。また、キャンティがDOCGに昇格したときも、カルミニャーノは国際品種を使用していたことからキャンティと同時期には認められず、1990年にようやくDOCGに昇格しました。
(参考文献:林茂著(2018年)『イタリアワインの教科書』イカロス出版)
セミナーではピアッジャの取り扱いワイン全5種を試飲しました。
○PIETRANERA 2022 ピエトラネーラ 2022
【品種】サンジョヴェーゼ80% カベルネ・フラン20%
【醸造】ステンレスタンクにて発酵。旧フレンチオークバリックにてマロラクティック発酵後3ヶ月以上熟成、瓶熟6ヶ月以上。
・ファーストヴィンテージは2009年
・“毎日でも飲める”を意識して造っているピアッジャのカジュアルライン
・カジュアルラインではあるが10年までは熟成可能
★おすすめペアリング:パスタ、更に、白身肉、ピザ、カチュッコなどの魚介料理
○IL SASSO CARMIGNANO 2021 イル・サッソ・カルミニャーノ 2021
【品種】サンジョヴェーゼ70% カベルネ・ソーヴィニヨン15% メルロー10% カベルネ・フラン5%
【醸造】サンジョヴェーゼとメルローはステンレスタンク、カベルネはフレンチオーク(40HL)の発酵槽にて発酵。約3週間のマセラシオン。旧フレンチオークバリックにてマロラクティック発酵後12ヶ月熟成、瓶熟6ヶ月。
・石灰質土壌と粘土質土壌の畑で、そこかしこに小石がごろごろと転がる。「石」をイタリア語で「サッソ」ということにちなんで名づけられたワイン。
★おすすめペアリング:ラザニア、ジビエ、サラミ、パテ、赤身肉
○CARMIGNANO RISERVA 2019 カルミニャーノ・リゼルヴァ 2019
【品種】サンジョヴェーゼ70% カベルネ・ソーヴィニヨン15% メルロー10% カベルネ・フラン5%
【醸造】サンジョヴェーゼとメルローはステンレスタンク、カベルネはフレンチオーク(40HL)の発酵槽にて発酵。約3~4週間のマセラシオン。フレンチオークバリック(新樽率30%)にてマロラクティック発酵後24ヶ月熟成、瓶熟6ヶ月。
・イルサッソカルミニャーノよりも選果を厳しく行う
・2019年は非常に良い年で、今飲んでももちろん美味しいが、20年は熟成可能
・タンニンが強くなく、エレガントなワイン
★おすすめペアリング:ステーキ、ジビエ、炭火で焼いたお肉、ミートソースパスタ、ラザニア、鳩肉
○POGGIO DE’COLLI 2021 ポッジョ・デ・コッリ 2021
【品種】カベルネ・フラン100%
【醸造】フレンチオーク(40HL)の発酵槽にて自然酵母のみで発酵。約2週間のマセラシオン。フレンチオークバリック(新樽率30%)にてマロラクティック発酵後15ヶ月熟成、瓶熟6ヶ月。
・シルヴィアさんの一番のお気に入り
・ファーストヴィンテージは2004年
・20年は熟成可能
・シルヴィアさんは個人的に食べ物とワインを合わせる方が好きだが、このワインに関してはワイン単体でも美味しい。『瞑想ワイン』であると。
★おすすめペアリング:味の濃い肉料理、ビステッカ、イノシシ、熟成チーズ
○CARMIGNANO RISERVA UVA DEI COLOMBI 2019 カルミニャーノ・リゼルヴァ・ウーヴァ・デイ・コロンビ 2019
【品種】サンジョヴェーゼ80% カベルネ・フラン20%
【醸造】ステンレスタンクにて品種ごと別々の容器で18~28日間発酵。新フレンチオーク樽にてマロラクティック発酵。同容器にて最低24ヶ月以上熟成。無濾過無清澄にて瓶詰め。瓶熟12ヶ月以上。
・1972年に植えられた歴史ある畑の一番良く熟す区画の葡萄を使用
・ワイン名の由来は鳩が特に好んで食べていたことから「UVA DEI COLOMBI=鳩のワイン」と名付けられた
・20~30年は熟成可能
・カルミニャーノリゼルヴァよりも更に厳しく選果を行う
現行ヴィンテージが変更になっている場合がございます。その際はこちらをご確認ください。
社員からの質問にもお答えいただきましたので、いくつかご紹介いたします。
Q1. ピアッジャの強みやここだけは他の生産者には負けない、という点はどこですか?
家族経営の小さなワイナリーでありながら、収穫時期に非常にこだわり、手摘みで収穫を行う点。収穫時期に関して、メルローは9月上旬、サンジョヴェーゼは9月中旬、カベルネ・ソーヴィニヨン/カベルネ・フランは青さが出ないように10月中旬によく熟してから収穫を行います。また、カルミニャーノの他の有名生産者にも全く引けを取らない品質ですが、良心的な価格でお出ししています。
Q2. 他のエリアのサンジョヴェーゼとどのような違いがありますか?
カルミニャーノ地区の中でも全く違います。ピアッジャではサンジョヴェーゼ・グロッソを使用しています。しっかり熟していないと酸っぱく、タンニンも強く、香りもダメになってしまうので、収穫のタイミングにはとても気を遣っています。
Q3. カルミニャーノには16生産者ほどしかいないとのことで、かなり小さいコミュニティだと思いますが、他の生産者との意見交換など交流はあるのですか?
狭いエリアなので教会での意見交換の場があります。大体の生産者を知っていますし、数は少ないですが若い生産者もいます。
4.最後に
4日間に渡り、東京と関西のお客様を訪問いたしました。今回の来日に伴い、ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
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