弊社では生産者との関係構築を重要視し、定期的に海外出張を行っております。
今回は、前回に引き続き海外出張レポート、フランス・ブルゴーニュ編⑤をご紹介いたします。
前回のブルゴーニュ編④をまだご覧になっていない方は、是非そちらもご覧ください。
⇒「フランス・ブルゴーニュ編④ / ドメーヌ・ド・ラ・プレット」を見る
目次
1.モレ・サン・ドニ村
コート・ド・ニュイ地区のジュヴレ・シャンベルタン村とシャンボール・ミュジニー村の間に位置する村。20の区画がプルミエ・クリュ、5つの区画がグラン・クリュに認められております。
コート・ド・ニュイの村名アペラシオンとしては珍しく白ワインの生産も認められておりますが、その栽培面積は5%に満たないほどと、生産量は限られております。
赤ワインのスタイルとしては、ジュヴレ・シャンベルタンの力強さと骨格、シャンボール・ミュジニーの優雅さを合わせ持った味わいになると言われております。
2.ドメーヌ・オドゥール・コカール
ドメーヌ・オドゥール・コカールはモレ・サン・ドニを代表するグラン・クリュ「クロ・ド・ラ・ロッシュ」の真向かいにドメーヌを構える家族経営の生産者。現地ブルゴーニュでも評判の高い生産者でありながら、フランス国外はもとよりフランス国内でも探し出すことが難しく、ブルゴーニュ愛好家の間では探し求める価値のある優良生産者と言われております。
何故それほどまで入手困難なのかというと、単に生産量が少ないことと、既に常連顧客への割り当てが毎年決まっており、一般の目につく市場に流通する量が限られているためです。
オドゥール・コカールのワイン造りは特別なことは行わず、ステンレスタンクで発酵を行い、熟成も各ワインに合わせて行い、瓶詰めをするというシンプルなもの。現当主のセバスチャン・オドゥール氏にとってのワイン造りは「畑仕事が全て」であり、醸造がシンプルなだけにワインの味わいには誤魔化しが利きません。
【畑見学】
まずは、セバスチャン氏に畑をご案内いただきました。
ドメーヌのすぐ横にはプルミエ・クリュの「クロ・ラ・リオット」の畑。ほぼコカールのモノポール(単独所有)ですが、畑のオーナー自体は別にいるため、モノポールの表記はできません。
さらに、先述の生産者説明にもある通り、道路を挟んだすぐ向かいにはグラン・クリュ「クロ・ド・ラ・ロッシュ」の畑!「I♡MOREY」の看板のあたりがプルミエ・クリュで、その手前側がグラン・クリュの畑です。
栽培に関しては、ここ最近の気候変動のせいで昔の台木の調子が良くないようで、新しく変えている最中と仰っておりました。新しい木はカットして強くしなければならず、3年ほど待つ必要があり、生産量が少なくなってしまうそうです。
所有する8haの畑のうち1.5haは新しいものに変更済みのようですが、どのような結果になるかはまだ分からないとのことでした。
ちなみに、現在自宅がある場所も元々はプルミエ・クリュの畑だったようですが、セバスチャン氏の祖父が誤って家を建ててしまったという、うっかりエピソードも伺うことができました。
【醸造施設・セラー見学】
次に、醸造施設内を見学させていただきました。
基本的にはステンレスタンクにて澱と共に発酵、樽でマロラクティック発酵を行い、樽で15ヵ月熟成。ノンフィルターで瓶詰め。村名クラスは3分の1のみ新樽を使用、プルミエ・クリュ、グラン・クリュでも45%ほどと、100%新樽は使用しないとのことです。
昔はタニックなワインを造っていましたが、セバスチャン氏はよりい女性的でエレガントな、テロワールを表現するワイン造りを心掛けているそうです。
また、2022年のヴィンテージに関しては、フルーティーでアルコール感も高すぎず、伝統的なブルゴーニュのスタイルに。2018や2019と比較すると若くても飲めるため、レストラン向きのヴィンテージであると仰っておりました。
【テイスティング】
見学後はテイスティングルーム(兼セバスチャン氏の趣味部屋)で、2022ヴィンテージをご試飲させていただきましたのでご紹介いたします。
○BOURGOGNE COTE D’OR 2022 ブルゴーニュ・コート・ドール 2022
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】モレ・サン・ドニの樹齢50年の畑、ジュヴレ・シャンベルタンの60年、70年の畑のブレンド。
クラシックな味わいで、タンニンはきめ細かく酸味もしっかりありエレガント。今飲むもよし、10程待つもよし。
○VOSME-ROMANEE VIEILLES VIGNES 2022 ヴォーヌ・ロマネ・ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022 (注文サイトへは掲載されておりません)
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】ロマネ・コンティなどの畑にも近い場所で、家族の「宝物」の畑。セバスチャン氏とお父様しかこの畑には入らないそう。
伝統的な綺麗なピノ・ノワール。余韻に少しスパイシーさがあり、今飲んでも十分楽しめる味わい。
○MOREY SAINT DENIS 1ER CRU CLOS LA RIOTTE 2022 モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ・クロ・ラ・リオット 2022 (注文サイトへは掲載されておりません)
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】ドメーヌすぐ横の畑。造ったうちの3分の1はオーナーである町のためにあげて、パーティーなどで使用するそうです。
伸びのある綺麗な酸味とシルキーなタンニン。クリアな果実味。複雑味ある味わい。
○GEVREY CHAMBERTIN 1ER CRU AUX COMBOTTES 2022 ジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・オー・コンボット 2022 (注文サイトへは掲載されておりません)
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】「クロ・ド・ラ・ロッシュ」のすぐ隣に位置する畑。ヴィエイユ・ヴィーニュの畑があったが、アクシデントがあり30%程失ってしまった。それ以降はヴォーヌ・ロマネの畑同様、セバスチャン氏とお父様のみが畑仕事を行っている。
じんわりとした旨味のある果実味。バランス良く、分かり易い味わい。セバスチャン氏が一番好きなワイン!
○CLOS DE VOUGEOT 2022 クロ・ド・ヴージョ 2022 (注文サイトへは掲載されておりません)
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】樹齢約60年の畑。クロ・ド・ヴージョの中でも他とは向きが異なり、味わいのスタイルも唯一無二。
ほんのりと黒系果実の混じるじんわりとした果実味が印象的。熟成ポテンシャルはもちろんあるが、すぐにでも楽しめる味わい。
※現行ヴィンテージが変更になっている場合がございます。その際はこちらをご確認ください。
ブルゴーニュ編⑤は以上になります。フランス出張のレポートもついに次回で最後です!お楽しみに!
3.その他のおすすめワイン
○BOURGOGNE PASSETOUTGRAIN 2022 ブルゴーニュ・パストゥグラン 2022
【品種】ピノ・ノワール1/3 ガメイ2/3
【コメント】ヴィエイユ・ヴィーニュの畑。ヴィエイユ・ヴィーニュの表記に関してあまり明確なルールはないが、コカールでは50年以上のものにしか使用しません。
メインの輸出は日本とアメリカ。フランス国内では1樽分だけだそう。
○CHAMBOLLE MUSIGNY 2022 シャンボール・ミュジニー 2022 (注文サイトへは掲載されておりません)
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】2023ヴィンテージからヴィエイユ・ヴィーニュ表記。
ほのかに甘みのある果実味がじんわりと広がる。綺麗な酸味とミネラル。
○NUITS SAINT GEORGES AUX SAINTS JACQUES 2022 ニュイ・サン・ジョルジュ・オー・サン・ジャック 2022
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】第二次世界大戦後の畑でヴィエイユ・ヴィーニュ。
他のキュヴェと比較すると黒系果実が目立ち、タンニンも力強い。飲み頃は2030年くらいだが、3年後でも問題ないと。
○CHARMES CHAMBERTIN 2022 シャルム・シャンベルタン 2022 (注文サイトへは掲載されておりません)
【品種】ピノ・ノワール100%
【コメント】80%シャルム・シャンベルタン(樹齢70年)、20%マゾワイエール・シャンベルタン(樹齢60年)。マゾワイエール・シャンベルタンは1つの樽にも満たないほどの量なので単体では造らない。
黒系の豊かな果実味。タンニンもきめ細かく上質な印象。
⇒ドメーヌ・オドゥール・コカールの全商品を見る(業務店様向けWEB注文サイト)
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